1日の勉強スケジュール
こんにちは、ネクタリンです。
今回はリクエストにあった、1日の勉強スケジュールについてです。私の場合は何時にどの科目をやるかを詳細に計画せず、基本的にその時の気分で科目を決めていました。やる気のある時に勢いのままに勉強するのが一番定着率が高いと思ったからです。しかしそんな中でも微分方程式などに代表される、パターンを暗記していれば解ける問題は夜にやることが多かったです。私はそこまで思考体力はないほうなので、思考力を求められる分野とそうでないものの区別は忘れないようにしていました。
どの日も大体12〜18時は机に向かっていました。一番長くやっていた時は9〜21時とかでやっていました。しかし無理をしすぎたのか、1週間くらいしたら熱を出してしまいました。長時間勉強できるタイプでなければ、無理なく続けられる勉強時間でコツコツ続けるほうがうまくいくと思います。
集中が切れたら散歩に行ったりお菓子やコーヒーを買ってきたりしていました。休むことは悪いことではありません。むしろ意識的に休める人のほうが効率良く勉強できると思います。どうしても集中できない時はいっそ丸ごと投げ出してリフレッシュしましょう。私は丸一日カラオケに行ったりYouTube見てゴロゴロしたりする日が何日もありました。意外とそういう日を挟んだほうが心機一転できて勉強を継続しやすいです。
伝熱工学 勉強法
傾向
頻出
- 熱伝導
- 熱伝達
とにかくこの2分野に尽きます。しかし約10年前は熱力学と絡めたものが、2022年度入試では小問ですが熱放射が出題されました。いきなり変化球を投げてくる可能性があるのでマイナー分野の知識も少しはつけておくと良いと思います。熱バランスを使った解法と無次元数を使った微分方程式の解法は確実にマスターしましょう。意識他界系ブログのSN様の解説がわかりやすいのでおすすめです。様々な形状、条件の題材が取り扱われていますが、全体としてはやるべきことはほとんど同じです。基礎を確実に抑えた上で様々な題材の問題を解き、応用力をつけましょう。
参考書
図解伝熱工学の学び方
これだけで十分です。フォントとイラストが古めかしくて一見とっつきにくさがありますが、解説が他のどの参考書よりもわかりやすくて読みやすかったです。公式の持つ意味まで理解することができるので応用力の向上にもつながると思います。
問題集
図解伝熱工学の学び方
はい、同じやつですw 章末問題がいくつかあったので熱伝導とか熱伝達とかの重要そうな部分だけやりました。東大院で問われる、熱バランスを使う問題をメインに載せている問題集は私が探した限りでは存在しませんでした。そのせいで演習量をあまり確保できなかったので不安なまま本番を迎えることになりました。熱バランスを解きまくれる問題集が発売されることを願います。
過去問
できる限り多くの年度の問題を解き、熱バランスを使った解法に慣れましょう。手も足も出ないような問題はほとんど出題されないので、基本的なところを確実に固めておけば安心だと思います。私も問題演習の大半を過去問で行いましたが、それだけでも合格点には到達したので過去問を信じて解きまくりましょう。
熱力学 勉強法
傾向
頻出
- サイクル
- エントロピー
熱力学はサイクルが頻出です。オットー、スターリング、ブレイトン、ディーゼルの4つと冷凍サイクルは確実にできるようにしておきましょう。サイクルが出ない年は状態変化みたいなやつを問われることが多いです。H30とかですね。2023はエクセルギーとエンタルピーに関する問題でしたが、なんとこの2つについては10年間出題されていませんでした。こういうことが起こるので、幅広く対策しておくことをおすすめします。ジュールトムソンが出そう出そうと言われて今だに出題されていませんが、あれはどちらかというと物理学系統寄りの熱力学なので出題される確率はかなり低いと思います。
参考書
JSME
日本機械学会が出版している、超有名テキストです。熱力学は特に評判が良く、東大機械受験ブログでもオススメされている方も多いです。カラー刷りである上に説明も丁寧でわかりやすいので、参考書はこれ1冊で十分です。頻出のサイクルとエントロピーの解説が非常にわかりやすく、何度も読んでいた記憶があります。
問題集
四力精選
東大機械受験の定番です。受験開始直前に読んでいる人も複数人いました。2,3,7章が一番大事なのでまずはこの3つを固めましょう。2023年度は10年以上ぶりにエクセルギーが出題されたので、4章も一応やっておいたほうが安心です。8,9章では10年以上出題されていない蒸気サイクルが扱われていますが、これも10年ぶりにいきなり出題されることもありえなくはないので、不安であればやっておきましょう。1,5,6,章は自分の確認では今までの入試で出題されたことのない分野なので多分やらなくても大丈夫です。自分も全くやらずに入試を迎えました。
過去問
過去問では様々な分野からランダムに1題出題されている印象です。オットーサイクルなど一部のサイクルは複数回出題されていますが、基本的には過去問と同じ題材が取り扱われることはありません。幅広く対策することが求められる分野だと思います。
材料力学 勉強法
傾向
材料力学も機械力学と同じく、安定して得点できる分野です。頻出,準頻出分野は下記の通りです。
頻出
- たわみの基礎方程式
- カスチリアノの定理
- 平面応力
準頻出
- 薄肉円筒
- ねじりモーメント
- トラス
どの分野についても難しい考えが要求されることはほとんどないので、下記の参考書と問題集でマスターしましょう。
参考書
JSME 材料力学
言わずと知れた機械工学系参考書界の絶対王者です。材料力学はその中でも特別評価が高いです。どの事項の説明も初学者にもわかりやすいように書かれているので、とりあえずこれを買っておけば安心です。
東大のテキスト
とむはま様の記事にてリンクが掲載されていたものです。おそらく今でも内部生が材料力学で使っています。院試の材料力学はこのテキストをベースに作られているので、使わない手はないです。おまけにJSMEに匹敵するレベルでわかりやすいです。薄肉円筒などの東大院くらいしか出題してこないニッチな分野ももちろんカバーしています。
問題集
材料力学の問題演習は過去問と東大のテキストだけでやりました。一応JSMEの演習本と四力精選を少しだけやってみたりもしたのですが、何となく自分に合わなかったのでやめました。ただ、四力精選の薄肉円筒に引張りとねじりが加わっている問題は良問だと思うので解いてほしいです。
東大のテキスト
絶対に解いてください。院試に直結する問題がいくつも載っています。全ての問題に解説があるわけではないので、まずは解説付きの基礎問題から解きましょう。それらを理解できた頃には解説なしの応用問題も解けるようになると思います。問題も解説も膨大な量がありますが、先述した頻出・準頻出に対応する分野だけやっていれば大丈夫です。行列使うやつとか全く出ないので無視しましょうw
過去問
全体的に解きやすい問題が多いです。過去問解答の記事に載せている固体の力学学会様の解答集を使いながら、できるまで何度も解き直しましょう。解きやすいとは書きましたが私も最初は何一つわかりませんでした。根気強く戦いましょう。
平面応力と薄肉円筒の問題は東大院ではなかなかの頻度で出題されますが、他の問題集や他大学の過去問にはほとんど載っていません。過去問で対策しましょう。この2分野は基本的な知識や理論だけで解けるものばかりで、それ以上の高次元のものは(今のところ)要求されません。他の専門科目と比べてお得な材料力学の中でもさらにお得な分野なので、得点源にしましょう。
過去問解答
固体の力学学会様の解答集です。非常に丁寧な解説が魅力ですが、あまりにも丁寧なので人によってはくどく感じるかもしれません。また、問題と解答が一体型になっていて使いやすいです。ページの接合部が脆くて剥がれやすいので大切に扱ってあげてください。
5月
内容
- 四力精選もう1周
- 過去問6年分1周
5月は入試説明会とオープンハウスに参加しました。入試説明会は機械工学専攻と工学系研究科の公式ページの情報とほとんど同じ内容の説明でした。自分にとっては入試の説明よりも東大内部生の雰囲気を知ることで受験本番の空気感を早めに知っておけたことのほうが価値が高かったです。オープンハウスでは本郷の研究室見学と、駒場にある研究室の紹介が本郷キャンパスで開催されました。駒場の研究室紹介では研究室ごとに研究内容のパネル展示があり、パネルごとに配置された数人の教授や学生が研究室紹介や質疑応答をしてくださっていました。自分はそこで先輩の勉強スケジュールや過去の入試の平均点などの入試の情報を教えていただくことができました。大学院入試は情報が少ないので、先輩の経験を少しでも教えていただけたのが心の支えになりました。みなさんも是非行ってほしいです。
この時期から過去問に本格的に取り組み始めました。H27~2020までの6年分を1周しました。相変わらずほとんどわからない状態でしたが、基礎的なところを押さえていれば解けないレベルではないと実感することもできました。四力精選は4周目が完了しました。4周もやっていたので、答えを覚えてしまった問題もいくつかありました。しかし解法の理解まではできていなかったのでまだまだ量は足りていないと思っていました。自分の理系センスと理解力だと7周くらいやらないと合格は無理かな?と勝手に考えていました。
自己評価・アドバイス
ストイックに四力精選を続けられていたのは我ながら称賛に値しますねw 大学受験時代は参考書を1周することすら殆どできていなかったからです。行きたい研究室が決まっていたため、大学受験よりも明確な目標のもとで勉強できたのが継続できた理由だと思っています。また、もったいぶらずに過去問に取り組めたのも良かったと思います。過去問を解いてから必要な知識を逆算して勉強するという王道のやり方を早めに確立することができたからです。大学院入試でも過去問が正義なので、科目の理解がある程度進んだらどんどん過去問を解いたほうが良いと思います。
2022,2023年度入試平均点と、成績開示
こんにちは、ネクタリンです。平均点は下記の通りです。カッコ内は各科目の配点です。
【2022年度】
英語 187.9 (300)
数学 167.8 (300)
熱工学 85.5 (180)
流体工学 81.7 (180)
材料力学 118.9 (180)
機械力学・制御 107.2 (180)
機械設計・生産工学 83.3 (180)
合計 832.4 (1500)
合格者最低点 580
この年度の得点情報は5月に開催されるオープンハウスにいらっしゃった先輩にいただきました。研究室の雰囲気を教えていただけたり、入試の話もできるのでオープンハウスにはぜひ行ってほしいと思います。
【2023年度】
英語 181.1 (300)
数学 163.7 (300)
熱工学 116.1 (180)
流体工学 111.7 (180)
材料力学 132.4 (180)
機械力学・制御 111.2 (180)
機械設計・生産工学 98.1 (180)
合計 914.3 (1500)
合格者最低点 687
英語と数学は平均点が例年より低いですが、機械工学5科目は軒並み史上最高クラスの点数となっています。それに伴って全体の平均点・合格者最低点もかなり高めですね。今年度の入試では外部生の比率が少なく、受験生全体のうちの東大生の比率が大きかったことが影響していると思います。試験問題の難易度の判断は私のような実力の人間にはできかねますが、私でも合格した入試なので、例年よりも簡単だったのかなと予想します。
2021年度~平成28年度の得点情報は下記リンクのコマ様の記事に掲載されています。
続いて、私の入試成績です。
英語 214 (300)
数学 132 (300)
熱工学 85 (180)
流体工学 20 (180)
材料力学 90 (180)
機械力学・制御 100 (180)
機械設計・生産工学 72 (180)
合計 713 (1500)
かなりギリギリでの合格ですねw 予想外だったのは熱工学と流体工学です。熱はもっと低く、流体はもう少し高いと思っていたからです。流体ではほぼ未対策の複素ポテンシャルが出題されたものの、一応それっぽい答案は作れたので60点くらいはもらえただろうと思っていましたが、蓋を開けてみたらこの惨状でしたねw 英語だけは平均より30点高く、このおかげで救われていますね。他の科目についてはどれも予想通りの点数でした。年度によって平均点や合格最低点の波はあるものの、どの年度でも5割弱を取れれば合格できることは確実です。東大院とはいえハードルはそこまで高くないので諦めることなく頑張ってほしいです!
4月
内容
- 四力精選もう1周
- 過去問1年
無事4年生に進級することができ、研究室に配属されました。この研究室が大当たりでした。週2回のゼミだけ行けば他は何もしなくて良く、実験もなく、研究室は院生と4年生合わせて5人と少ない上にほとんど誰も来ないので部屋を占領して勉強ができ、過去の先輩も東大院受験をしているので教授も受験への理解があるという最高の環境でした。他大院試を受験予定の方は受験勉強がしやすい研究室を狙うことをおすすめします。
4月になっても相変わらず四力精選と格闘していました。3週もやっていればさすがに少しずつわかってきます。解いてみてわからなかったらとりあえず解答を理解しながら写して、参考書で内容を確認して、もう一度解くというルーティンはこの時期から定着してきました。過去問にも手をつけ始めましたが、誇張なしで1割も解けない現状に絶望していました。しかし今どれだけできなくても結局受験当日は来るから、やるべきことをストイックに続けようと言い聞かせていました。
自己評価・アドバイス
四力精選の難易度に屈することなく3周目に入れたのは大きかったと思います。どこかで無理になってポイしてしまうとそこからズルズルと何もしなくなってしまう危険性があるからです。1周やって1問解けるようになっただけでも儲けもんだと思ってやりましょう。
合格者のうち、4月の時点で過去問が1割も解けなかったのは多分自分だけだと思います。人によってはその時点で挑戦を諦めてしまうかもしれませんが、粘り続ければ合格できるので自分を信じてください。