独学で東大院機械工学専攻の院試対策

2023年度入試に他大から独学で合格した男による、下剋上の物語。

合格の瞬間

アナログな合格発表

筆記試験合格発表日は筆記試験で使用した、大きなスクリーンのある部屋に集合します。筆記試験合格者と不合格者の今後の流れについてスクリーンにパワポを写して軽い説明をされた後、受験番号ごとに「合」「否」が記された紙が壁に貼り出されます。いやスクリーン使わないんかい!と誰もが思っていたでしょう。貼る担当の方がなぜか紙を下側から固定し始めたので、自分の受験番号を下から順に追って探しました。

(以下心の声)

いやスクリーンで合格発表じゃないんかい!もう何でもいい早く貼ってくれ…!お、来た来た!壁に貼るのね!?下から貼ったら見づらいんじゃないですか!?えっと、俺の番号は………

えっ……

 

「合」だ………………

 

や、やった………え?マジ??え、受かってたんだけど?????あ、受かったんだ俺………受かった、受かった、受かった、、、、(家族、友達に速攻ライン)(心臓バクバク)

(心の声終了)

こんな感じでした。本番数日前にこんな記事を出してしまって申し訳ないです。合格の瞬間をイメージして、あと数日頑張ってください!!!!!

本番の流れ

1日目 数学 13:00〜15:30

 初日は13時から数学です。肩慣らしを意図したかのような試験開始時間と科目ですね。点数配分から考えれば、ここでやらかしても機械工学で巻き返せば大丈夫なので落ち着いて解きましょう。私の年は6問全解答方式でしたが、確率を1問も解かずに出しました。機械工学でも共通ですが、問題ごとの時間配分は自由です。

2日目 機械工学 第一部 9:00〜11:00

 全大学生震撼の朝9時スタートです。本番の1週間前くらいから早起きの練習をしておくと良いと思います。私はやろうと思いましたが眠すぎて無理でしたw 

2日目 機械工学 第二部 13:00〜16:00

 2時間のかなり長いインターバルを挟んでからの後半戦です。詳しくは覚えていないですが、13時よりかなり早めに全員着席してしばらく黙って待っていたような気がします。参考書を読んでいる人もちらほらいましたが、私は心が落ち着かないので何もしていませんでした。

口述試験

 筆記試験合格発表ののち、合格者のみが口述試験控え室に呼ばれます。その後数人ずつ面接室の前の椅子に呼び出されます。呼ばれる順番はよくわかりません。ほぼ最低点で合格した私が真ん中くらいで呼ばれたので少なくとも成績順ではなさそうです。試験内容をネットに公開するのは気が引けるので具体的には書けませんが、この試験で合否を分けている可能性はないと断言できます。

流体力学 勉強法を書く権利などない人間からのメッセージ

すみません、勉強法のうち流体力学だけ長らく放置していました。なぜなら流体は本番で20点(180点満点中)を取ってしまい、とても勉強法の記事を書ける立場にないからです。他の方の記事を参考にしてください。不甲斐ない。

そんな私にも言論の自由を与えていただけるのであれば、ポテンシャル流れをサボるな!と言いたいです。数年に1度出ていた分野なのでヤマを張ってほぼ何も対策しないでいたら本番で見事に出題されました。最低限のレベルがわかるくらいにはやっておきましょう。

8月

ネクタリンです。何ヶ月も放置してしまって本当に申し訳ないです。入学してから数ヶ月間、周りのレベルに圧倒されてしまって院試について語る自信を失っていました。しかし本番まで残り3週間ということで流石に更新しようかなと思った次第です。

内容

進捗

過去問 何度も復習

四力精選 何度も復習

JSMEなどその他の重要なもの 何度も復習

 8月は特に新しい何かに手を出すことはしませんでした。受験の定番ですね。今までやってきたことを信じる、ってやつです。過去問を何度もやって、四力精選は7月の時点で解けた問題を中心に復習していました。7月まで半年間やってわからなかったものはあえて手をつけませんでした。今さらやったところで理解できないからです。この頃には、過去問の答えと解き方をほとんど覚えている状態でした。

何もしなかった直前1週間

 7月下旬に早稲田院、8月上旬に東大学際に落ちたことが原因で軽い適応障害になってしまい、直前の1週間は何もしていませんでした。無理に勉強して悪い意味で自分を追い込むよりも、本番に向けて心身の体調を整えたほうが良いと判断したからです。心療内科で処方された薬を飲みながらゆっくり過ごしていたのを覚えています。地元に日帰り帰省して、中学からの一番仲のいい友達に話を聞いてもらったりもしていました。本当に良い友達を持ったなと思います。

自己評価・アドバイス

 心療内科に行くレベルで心を壊すのは想定外でしたが、上手く対応できたと思っています。すぐに病院に行く判断ができたので、回復が早かったです。8月は復習に次ぐ復習をして、今まで学んできたことを確実に定着させましょう。新しいことは極力やらない方がいいです。例外として、流体力学のナントカ定数の定義、エクセルギーの公式などの小問1つだけいきなり聞かれるようなものは覚えていいかもしれません。私の年はエクセルギーの公式が必要な小問が1つ出ました。

 月並みな言葉ですが、今までやってきたことを信じて全力を尽くしてください!!応援しています。

弱者の戦略

お久しぶりです。ネクタリンです。

正攻法で勝てるはずがない

例年機械工学専攻の合格枠100人のうち、約70人は東大生です。彼らは悠々と上位合格していくので、余った30人の枠を約70〜100人の外部生で取り合う構図になっています。そしてその外部生には旧帝早慶のトップ層が多く含まれているものと思われます。私が第一志望にしていた研究室は旧帝の人々によって埋め尽くされていました。怖い。面接試験の前に関西弁で話していた彼らもおそらく京大阪大あたりからの刺客でしょう。上智で私の学科から受かった他2人も、学科でトップクラスの成績でした。私は留年ギリギリだったんですけどねw

そんな化け物たちに学科内120人中100番の成績を誇る私が真っ向勝負を挑んでも勝てるはずがないと思い、弱者なりに戦略を立てていたので共有します。

TOEFLを11月に終える

TOEFLはスコアが有効期限内に入っていればいつ受験したものでもOKなので、できる限り早めに終わらせました。全受験生で私が最初に終わらせたんじゃないかと思っていますw TOEFLはスーパーハードな難易度なので、本番までもう受けなくて良いという安心感は凄まじかったです。11月に終わらせる必要はないですが、可能な限り早めに決着をつけましょう。

数学はギャンブル

私が受験した時、数学は微積線形代数複素解析フーリエラプラス・ベクトル解析・確率統計の6科目をやる必要がありました。範囲広すぎです。この全てを完璧にするのは私の能力では無理なことは自明だったので、最低限の公式や頻出の解法を覚えつつ、過去問を4〜5周だけやって終わりにしました。さらには数学力というなんとも掴みどころのない能力も求められる科目なのでタチが悪いです。大学受験も院試も結局明確な数学力は手にできないまま終わりました。私のような数学弱者の方は自分の解ける問題が出るか出ないかのギャンブルをするくらいの気持ちで望みましょう。

本番では線形代数で頻出だった2次形式が出たり、フーリエ解析で超簡単な公式代入問題が出てくれたおかげでなんとか44%の得点率で耐えられました。しかし勝ちばかりのギャンブルともいかず、ベクトル解析では(1)だけしか解けず(正解だったかも正直自信ない)、確率統計に至っては1問も解けないという始末でした。白紙で出すのは悔しいと思った当時の私は問題番号だけ書くという謎の足掻きをかましました。

得意な分野と頻出事項だけは固めて、あとは過去問ザッとやっておきましょう。1分野あたり60点ですしそこまでガチる必要はないです。

肉を切らせて骨を断つ

機械工学では過去に数回しか出ていない分野はほとんど対策しませんでした。公式は覚えて、あとは解法を少し見たくらいです。エンタルピー(熱力学)、熱放射(伝熱工学)、複素ポテンシャル(流体力学)などが該当します。中途半端に対策するくらいなら他の分野を固めたほうが良いと思ったからです。ところが私の年度ではあろうことかエンタルピーと複素ポテンシャルが出題されましたw エンタルピーは小問のうちの1つなのでまだ助かりましたが、複素ポテンシャルは流体力学の出題のうち半分を占めていました。これが何を意味しているか分かるか?つまり、お前は「終わり」ってことだよ🥴 流体力学、20点でした(180点満点)。

想定外の出題が2つもありましたが、他の分野は解法に着目すれば概ね例年通りの出題傾向でした。制御はブロック線図からプロペラみたいなやつに、熱力はサイクルやpv線図ではなく変な模式図に、伝熱は図ではなくグラフ主体になったりと、傾向と違う題材は割と出ましたが、使う知識と解放はどれも変わりませんでした。

今回の私の流体力学20点事件のようなことが起こってしまう可能性は普通にあるので、数学はまだしも機械工学でヤマを張るのはできる限り避けたいところです。しかし私程度のレベルの人間が0から独学で合格水準まで持っていくとなればこの作戦にしか勝機はなかったと思います。

俺みたいになるな!

当たり前ですけど、ヤマ張って勉強するのなんか絶対やらない方が良いです。地頭も大して良くなく、全てを独学で仕上げなければならなかった当時の私が仕方なしに選んだどうしようもない最終手段です。しかしどうしても間に合う見通しが立たなかったらこの記事を思い出して、少しくらい対策していない分野があってもなんとかなると自分に言い聞かせてほしいです。それでは、頑張って。

頑張りすぎも、良くないよ。

ネクタリンです。今回は頑張りすぎて体と心を壊したときのお話です。

止まらない微熱

頑張りすぎたのか、7月中旬に1週間くらい微熱が出続けました。朝は普段よりだるいだけで治ったかと思えば夕方にはまた熱が出るというタチの悪い発熱でした。7月初旬は9時から21時まで研究室にこもって勉強をする生活をしていたので、間違いなくその影響です。もちろん12時間ぶっ続けではなく休みながらやっていたので実質6〜7時間くらいなんですけどね。

限界の精神状態

7月下旬に早稲田、8月上旬に東大学際情報学府の不合格通知が来ました。不合格を知ってすぐの時は笑って流していて、東工大と東大までまた頑張ればいいやと思っていました。しかし次の日から9時間寝たのに疲れが取れなかったり、上手く息が吸えなかったり、勉強が全く手につかなくなったりしました。顕在意識では気にしていませんでしたが、潜在意識では相当応えていたようです。心療内科に行ったら軽めの適応障害とのことでした。薬を飲んでもすぐに良くはならず、入試本番の2週間前からはほとんど何もせずに過ごしていました。

戒め

大学受験時代も含めて8時間でも机に向かっていれば上出来だった人間がいきなり12時間もやるのは無理です。無理なくできる時間をコツコツ続けるのが結局一番上手くいくと思います。頑張りすぎて体調を崩してしまっては本末転倒です。

精神的にやばくなったのは、たった1人で勉強をし続けていたことが1番の原因だと思います。一緒に勉強する仲間がいれば良かったと今でも思います。もし見つからなくても、受験を理解して応援してくれる人を心の支えにしてほしいです。私の場合、1年からずっと仲がいい学科の友達2人が応援してくれていました。孤独で勉強するのは辛すぎるので避けましょう。

6・7月

内容

四力精選ほぼ完遂

機械工学過去問7年分3周

数学過去問10年分3周

この2ヶ月はまとめた方がわかりやすいので一気に書きます。

当初は6月中に四力精選を終わらせる予定でしたが、7月までかかってしまいました。ほぼ完遂と書きましたが、自分がなんとか理解できるレベルまでの問題のうちのほとんどを解けるようになったという意味です。どの問題も数え切れないくらいの回数解いていたので、それだけやってもどうしてもわからないものは諦めてやらないことにしていました。内部生なら全部解けるんでしょうけどね〜。過去問をやりすぎて、7月が終わる頃には問題も解答も半分くらいは覚えていました。特に覚えようと思ってやっていたわけではないですw 機械工学に関しては難しい問題でなければ解ける状態、数学は自力で解けるのはほんの少しといった具合でした。数学は選択方式でなくなったかわりにそれぞれの科目の難易度が下がっていたので選択方式時代の過去問が解けないことについてはあまり気にしていませんでした。ちなみにこの時期にやっと流体力学の運動量の保存則を理解しました。

そして7/16,17には早稲田院の入試がありました。四力+制御の中から4つ選択する方式だったような気がします。普通に四力を選択しようと思っていたら熱力学で意味わからんのが出てきて、半泣きで制御を選択しました。東大院の制御よりよっぽど難しいものが出題されていたのでほとんど解けずに終了しました。そして落ちましたww

自己評価・アドバイス

100%ではないものの、一旦四力精選を終わらせられたのはデカかったです。過去問と四力精選の同時並行は思った以上に大変でした。皆さんも7月までには完成させましょう。

運動量の保存則のように、曖昧な理解のままで止まっていた分野も時間を置いてからもう一度取り組むと案外すんなり理解できたりします。凝り固まった頭で考えつづけるより、リフレッシュした新鮮な状態で臨みましょう。